2012年03月01日

ピアピア動画と新清士コラム

というわけで、尻Pの新刊、「南極点のピアピア動画」を読了。1本はミク表紙のSFマガジンで既読だったものの、連作というかシリーズでどんどん規模がでかくなっていくのが面白い。



で、作品としての「南極点の〜」はそれはそれで大変面白く読ませてもらったのですが、ちょうどアゴラでこちらの記事を読んだところだったので、ちょっと別のところに考えがいったのをメモ。

アップルの70万人雇用〜新卒6割就職と初任給1000万円の差の理由 (新 清士)

このコラムは、ざっくり「IT企業は上位エンジニア1000人ぐらいの雇用は生み出すけど、製造業のような数十万人クラスの雇用は生まないよね。どうしようね」という内容だと読みました。

ソフトウェア産業は限界費用が0に等しくなっていくと言われていて、ダウンロード配信がこれだけ普及してくると確かにその通りだと思うわけです。限界費用が0ということは、つまり、増産にヒトも資源もいらないということで、つまり雇用創出力はないわけです。ゲームだろうがOSだろうが、売れようが売れまいが「製造」コストはサーバに上げた時点で確定しているわけです。


そこに「南極点のピアピア動画」です。


ネタバレしたくないのでアレですが、本作の中でモノが増えるシーンがいくつかあるのですが、驚いたことにどれも工程に人間がほとんど絡んでない。デリバリーとかフィードはするけど、製造そのものに手は動かしてない。

野尻先生がどういった意図でそう描いたのかはわかりません。職人を使うと「夏のロケット」的な感じになるから避けたのか、あるいはボカロ的世界観にあわせたのか。あるいは、特に意図はないのかもしれません。

ただまあ、SFの中でも、宇宙時代も雇用は増えないんだなあ、とシミジミしてしまいました。

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2009年06月25日

ものづくり経営学: 日経BPのサイトに藤本先生と竹森俊平の対談が

日経BPのサイトに藤本先生と竹森俊平の対談が掲載。
ちょうど「ものづくり経営学」を読んでる最中なのでおもしろい。

制約条件を輸出しろというのはいい提案だなあ。

“トヨタ型ものづくり”復活の日

「電気自動車で一発逆転」はあるか?


藤本先生の本に出てくるネタでは、トヨタもいいけどシマノの立ち位置もかなり魅力的。ただ、ソフトウェア産業ではシマノの立ち位置(モジュラーで使える部品をインテグラルに作り込む)はオープンソースが台頭しやすい気がする。MySQLとかスクリプト言語とか。これはこれで大変そうだ。。。
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2009年05月01日

「ネトゲ廃人」購入

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アマゾンでの扱いがない!とドキドキしていた「ネトゲ廃人」、新宿西口のブックファーストにて無事購入。アマゾン含め、ふつうに配本されたようです。よかった。

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2008年11月20日

アンビエント・ファインダビリティ読了

長久さんに紹介された「アンビエント・ファインダビリティ」(オライリー)、とりあえず1回目を読了。情報を見つけることがどんどん困難になる状況で、どう考えるべきかという話でしたが、今の自分の仕事はまさにそれなので、紹介してくれた長久さんには大感謝。

このアンビエント・ファインダビリティ問題、コミックマーケット会場で、島中にあるはずのすげー作品を探すというのに近いのかとも思った。めあてのジャンルに配置されていたとしてもけっこう探すの大変で、ましてジャンル違いのところで売られている作品にぶち当たるのはほんと困難。壁サークルってのは、googleの1ページ目に出てくるようなものか。

こうなると、07th expansionがネットで「ひぐらし」体験版を配布したような、違う軸、違う地平でのリーチを考えないと低いところで限界に当たりそうだなあ。コミケ会場内での施策だけで来場者リーチを増やすなんてのはそもそも無理だし、そう考えるとネットコンテンツをSEOだけで何とかしようってのはそのレベルの施策ってことか。うん、違う方法を考えよう。
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2007年10月24日

ファウンデーションとスーパーマリオとポストモダン〜 ジャパナメリカ、おまけ

ふと考えたことのメモ。

「ジャパナメリカ」に、村上隆の言葉として「日本は世界で初めて真の「終末後を生きる社会」となった」との指摘があった。これがものすごく印象に残った。

たぶん村上の指摘は正鵠を射ているんだと思うが、日本にはその例外となる土地がどんと存在する。大都市部で唯一戦略爆撃をまぬがれた京都だ。

京都は日本の他のエリアと違って「終末前」を生きているのかもしれない。日本人が京都を無視できないのは、京セラや任天堂や京都大学があるからではなく、そこが日本でありながら決定的に自分たちと違う世界なのだという感覚があるんだろう。ポストモダンに突入していない地域、過去を決定的に持ち続ける地域。任天堂が花札からファミコンに移っていったというエピソードは、そういう意味でも象徴的だろう。

戦後日本をモデルにしたのでは、と日本読者の心をくすぐったアシモフの「ファウンデーション」シリーズで、役割と設置場所が真逆の第二ファウンデーションがあったけれど、日本の第一ファウンデーションが東京(に代表される戦後日本)だとするなら、第二ファウンデーションとはまさに京都なんだろうなあ。
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2007年10月23日

ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命【読了・おすすめ!】

ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命
ローランド・ケルツ(ランダムハウス講談社)



なぜ、今、マンガとアニメが
アメリカで受けるのか?
浮世絵、禅に続く、日本文化偏愛の「第三の波」を、日米の最前線からリポート!

現在アメリカ人の興味をそそっているのは、
日本のポップ・カルチャーの生みの親でるクリエイターたちの奇抜さであり、
奇妙なイカレ具合であり、
何ものも恐れずに自由を主張する姿勢であると同時に、
文化を消費する日本人たちの想像を絶する貪欲さである。


一気に読了。ぱらぱらと拾い読みというよりも、頭から通読するのがおすすめです。いろいろと考えさせられます。経産省がコフェスタを展開している時期でもありますが、こういう振興策がどれほど作り手をエンパワーするのか、検証されるのか不安。

ゲームもアニメもマンガも、PTAや自治体から叩かれる作品が業界を盛り上げてきた面は大きい。暴力、性表現、下品。そういう作品を否定しながら選択的に支援することにどれくらい意味があるのか、悩ましい。

↓のような事例で腰が引けるのはやむを得ないところだし、国からエロゲやエロマンガが妙に理解されるのもヤだけどねえ……


都施設でポルノ漫画即売会、過去6回開催(読売)

東京都中小企業振興公社が運営する都立産業貿易センター台東館で、ポルノコミックの即売イベントが過去に6回開かれていたことがわかり、公社側は、今後は貸し出さない方針を主催者側に伝えた。

 同公社は「詳しい内容を確認してこなかったが、公共施設にはふさわしくないと判断した」と説明している。

 同公社によると、このイベントは「アブノーマルカーニバル」などと銘打たれ、1回に100以上の同人誌サークルが出品。少女に対する性行為や猟奇的な描写などを売り物にしたコミックも販売されたという。

 主催者側から「同人誌の即売会」と説明を受けたが、公社側では具体的な内容は確認していなかった。今年5月の開催後、主催者から「来年も利用したい」と申請があり、たまたま担当者がインターネットでイベントの内容を知ったという。
(2007年10月22日14時43分 読売新聞)
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2007年10月19日

タウ・ゼロ【読了・おすすめ!】

タウ・ゼロ
ポール・アンダースン(東京創元社)


50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突し、その衝撃でバサード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ。亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしかないのだろうか…?現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場。


というわけで、文庫が出てから15年というタイムラグ。遅いよ>自分

バサード・ラムジェットというと、ラリイ・ニーヴンのノウンスペースもので初期の航宙手段(地球からの贈り物、など)として重宝されていたテクノロジーですが、この「タウ・ゼロ」、ニーヴンの「リングワールド」と同じ1970年の作品なんですね。

前半が非常にゆるいので、あやうく投げそうになったけど、読み終えてみると「ああ、もっと早く読んでおきたかった」としか。

「減速できないラムシップ」というある意味でシンプルな舞台、タイトルの「タウ・ゼロ」の意味、相対論的な時間の流れ・・・

まだの人はぜひ。

続きを読む(ネタバレあり)
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2007年10月16日

リングワールドの子供たち【読了】

リングワールドの子供たち
ラリイ・ニーヴン(早川書房)


「リングワールド」シリーズの第4作目にしておそらく完結編。このシリーズはG2型恒星をめぐる巨大な人工構造物“リング”の上で繰り広げられる冒険談なわけですが、第1作では人間・パペッティア人・クジン人の4人パーティで、リングワールドへの墜落から脱出までを描いたシンプルな作品でした。これが第2作(リングワールドふたたび)、第3作(リングワールドの玉座)、第4作(リングワールドの子供たち)と続くにしたがって、現地の「人類」とか、第4作に至ってはノウンスペースから出張ってきた軍隊も絡んできてややこしいことに。

「子供たち」、話自体は案外シンプルでややこしくないのだけれど、場所と人物と種族がやたら錯綜して、読了後の感想は第一に「疲れた……」て感じ。

で、これ、面白くないかというとそんなことはなくて、とんでもなくバカでかい世界でとんでもない規模のオチが待ってる。「中性子星」とかの頃を彷彿とさせるおもしろさが残るので、これから読む人は頑張って〜 ^^
posted by へろ at 13:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2007年10月05日

マリア様がみてる・薔薇の花かんむり【読了】

マリア様がみてる 薔薇の花かんむり
今野緒雪(集英社)


今回舞台となったのは「三年生を送る会」。祥子さまの卒業ももうそろそろですが、まずは帯にも書いてあるのでいいんでしょう。「ここに、姉妹誕生ーーー!」なのです。いやー、長かった。祐巳ちゃんの妹話にようやく決着です(「あなたを探しに」で決着していたといえば決着してましたが)。

でも、自分としては興味はすでに“由乃の妹”に移ってるかなぁ。いや、むしろ蔦子さんとこか。奥手な蔦子さんがどう切り出すのか是非見たい。

まあ、この引っ張り具合にいろいろ言われたりしてましたが、初期マリみての密度感は、詰まるところ「先代だの蟹だの、まわりのひとが入れ替わり立ち替わり祐巳ちゃんをいじる」ところにあったわけで、これは祐巳ちゃん2年に進級、という時点で薄まらざるを得なかった。

登場直後からスーパーエース扱いだった祐巳ちゃんだけあって「ほっとけば育つ」ために、聖さま・柏木さんの登場機会も減少してくし、ハリガネこと可南子の離脱以降は自然と「紅薔薇姉妹は安泰」以外の状態になりえなかった。

個人的には「乃梨子がやさぐれキャラのままなら・・・」と思わなくもないけど、志摩子さんがくたびれるからそれは無理だったかなー。ま、いずれにしても、おめでとう>祐巳ちゃん
posted by へろ at 21:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2007年09月13日

赤い靴の誘惑【読了:オススメ!】

赤い靴の誘惑
シャンナ・スウェンドソン (東京創元社)


というわけで、アメリカからきた女の子向けライトノベル「ニューヨークの魔法使い」の続刊。もう、タイトルからいきなり思わせぶり。

2冊目でケイティは、両親がニューヨークにやってきたり、1巻目よりもさらに変な事態に巻き込まれたり、とんでもないピンチにも巻き込まれたり……というハラハラな展開です。恋も仕事もハラハラです。

1巻目に張られてた伏線とか、1巻目の「え?」というようなところにちゃんと作者なりのメッセージを提示したりとか、2冊目まで読んでよかった! という感じ。

ふと思ったけど「マリみて」が最近惰性くさいのは、上級生のバリエーションの狭さがある気がする。新聞部、もっとがんばれw
posted by へろ at 14:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

ニューヨークの魔法使い【読了:オススメ!】

ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所>
シャンナ・スウェンドスン著 (創元推理文庫)


ニューヨークって本当におかしな街。宙に浮いてる妖精はいるし、教会の屋根にはガーゴイルが出没する。テキサスから出てきて一年、毎日が驚きの連続だ。わたしって、そんなに田舎者?ところがある日、思いもかけないチャンスが舞いこんできた。でもちょっと待って、うまい話には絶対に裏がある…。おしゃれでキュートなファンタジー、魔法版『ブリジット・ジョーンズの日記』。


というわけで、アメリカからきた女の子向けライトノベルという感じの作品。まさに現在のニューヨークを舞台に、ごくごく平凡な女の子がある日を境に魔法に恋に大忙しに……、という内容。マリみての1巻目を読んだときのようなハマリ感で最後まで一気に読み通してしまいました。

初期「マリみて」がOKな人にはぜひオススメの1冊。

ネタバレになるので詳細は伏せますが、1巻目のラストはちょっと拍子抜け気味。でも2巻目(赤い靴の誘惑)まで読了する頃には納得しちゃう感じです。

ヒロインのケイティの描写が可愛らしい。アメリカでもやっぱり女の子は「自分はなんて平凡なんだろう」とか考えちゃうのかー、とか“アメリカ人”のイメージをちょっとあらためました、はい。
posted by へろ at 14:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書