ポール・アンダースン(東京創元社)
50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突し、その衝撃でバサード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ。亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしかないのだろうか…?現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場。
というわけで、文庫が出てから15年というタイムラグ。遅いよ>自分
バサード・ラムジェットというと、ラリイ・ニーヴンのノウンスペースもので初期の航宙手段(地球からの贈り物、など)として重宝されていたテクノロジーですが、この「タウ・ゼロ」、ニーヴンの「リングワールド」と同じ1970年の作品なんですね。
前半が非常にゆるいので、あやうく投げそうになったけど、読み終えてみると「ああ、もっと早く読んでおきたかった」としか。
「減速できないラムシップ」というある意味でシンプルな舞台、タイトルの「タウ・ゼロ」の意味、相対論的な時間の流れ・・・
まだの人はぜひ。
本作は、筆力というか密度も凄い。
今の宇宙論からするとおかしいところもあるというのですが、そんなことはあまり気にせず、壮大なスケールを楽しみましょう。
以下、軽いネタバレあり。スキマ空け。
減速できないラムシップで宇宙を飛び続けるというストーリーで、しかもその減速システム破損以外には「偶発事故」がまったくおきない。居住システムのエア漏れだの、コンピュータの計算ミスだの、無重力作業中にだれかがヘマするだの、そういう小手先の盛り上げをいっさいしない。ひたすら緊張と絶望と苦渋の選択だけでストーリーを引っ張っている。これはすごい。
